バンテック研究開発室 開発ストーリー
燃料電池カートの開発
- 1.はじめに
- 固体高分子型燃料電池が対応できるアプリケーションは様々である。燃料電池自動車と家庭用コージェネを筆頭にパソコン、携帯電話などのモバイル機器用にもその開発が進められている。これらは開発段階から実用化段階へと移り変わる時期にきていると一部では言われている。しかし、価格や耐久性など大きい課題も抱えている状態であり、実用化にはもう暫く時間がかかりそうである。そういった中で学習、教育目的の燃料電池製品はすでに一般的に販売されているものがたくさんある。
- 2.開発の経緯
- 現在、学習教材分野で販売されている燃料電池の出力は小さいものは10W、大きいものでも100W程度である。弊社は理科教材を販売している中村理科工業株式会社の協力を得て、体感・実感できる燃料電池教材。それは電球やおもちゃではなく、子供たちが乗って走れる燃料電池式レーシングカートの開発に着手した。
- 3.開発のコンセプト
- 「燃料電池って何?」、「燃料電池自動車って何?」、と子供たちはまず疑問を抱くだろう。
私たちはその疑問の解答をこの燃料電池カートに乗ってもらうことで理解してもらえればと思って開発した。燃料電池とは水素と空気中の酸素が反応をして発電する。その電気でモータを回転させることで、カートが走る。さらに排出するのは水だけ。基本的なことだが、実際に本物に触れ体感することで、燃料電池や水素について、また環境問題に対しても興味が持ってもらえれば、というのが燃料電池カートの製品化の目的である。
- 4.システム構成・機能
- ① 燃料電池と水素吸蔵合金
搭載する固体高分子型燃料電池(※1)の出力はDC24Vの200~250Wスタック1本、スタック本体にはブロアーを二つ装着させている。一つは空冷用であり、スタックについている温度センサーで発電中の温度変化を読み取り、空冷風量をコントロールできるようになっている。もう一つは酸素(空気)供給用で、負荷の大きさによって風量コントロールできるようになっている。一方、水素燃料は容量500NLの水素吸蔵合金ボンベ(※2)を搭載する。

カートにシステム搭載するために、システムボックスを設計。
- <システムボックス>
固体高分子型燃料電池 1 200~250W DC20~36V ツインブロアー制御
DC/DCコンバータ 1 入力18~36V 出力 24V 300W(max)
水素吸蔵合金 1 500NL 熱交換フィン
圧力レギュレータ 1 0.02~0.04MPa放出

② モータとモータコントロール
出力はDC24V 200W、燃料電池からDC24V 200Wを出力しモータを回転させる。アクセルにスライド式ボリューム抵抗を接続し、アクセルの踏む強さによって、モータへ流れる電流をコントロールできるように、モータコントローラを組み込んだ。このモータコントローラは回転の前転、後転の切り替えが可能になっており、カートの前進、後進ができるようになっている。
③ カート車体
カート車体はエンジン式レーシンカートのオリジナル車体を採用した。車体重量は55kg。車体骨組みが頑丈に作られており、安全に適している。オリジナルと同じくブレーキは油圧ディスクブレーキを利用。
④ 燃料電池とバッテリーのハイブリット回路
燃料電池カート総重量は約85kgである。これに人が乗ると120~150kg程度の重さになる。この重量は200W級の燃料電池ではかなりの大きい負荷になってしまった。停止からカート発進時かかる燃料電池への負荷は発電能力以上になってしまい、燃料電池の故障を招く原因となっていた。そこで燃料電池のアシストとして小型のバッテリーを組み合わせる回路を組むことになった。燃料電池電圧は発進時に24V以下に落ちてしまうので、24V以下になるとバッテリーから電流が流れるようになり、走行中は燃料電池電圧から25~28Vで電力供給ができるようなハイブリット回路を搭載した。それによって、発進による過負荷時はバッテリーから電力を補い、走行中は燃料電池によって走行ができるようになった。


- 5.開発の課題
- 課題として燃料電池の安定的発電が最重要課題である。搭載されている燃料電池システムはシンプルなので、周囲環境に対しての対応を考えなければならない。そこで燃料電池へ供給する水素を循環させ、加湿させる方式を開発した。スタック内部に残った水素をポンプによって循環させ、スタック内部湿度を持った加湿水素を循環させる仕組みである。これによって、水素少量を抑えることができ走行時間を長くさせ、またスタックの加湿効果も得られる。
- 6.今後の予定
- 数百W程度の小出力燃料電池を利用したアプリケーションは多種多様である。この燃料電池カートも教材用としてより品質に優れたものにしていく。また、この開発で得た経験を生かし、教材分野だけに留まらず、医療福祉分野の電動車椅子や工業用搬送車、その他の特殊車両にも順応できる燃料電池システムの開発をしていく。
私たちはその疑問の解答をこの燃料電池カートに乗ってもらうことで理解してもらえればと思って開発した。燃料電池とは水素と空気中の酸素が反応をして発電する。その電気でモータを回転させることで、カートが走る。さらに排出するのは水だけ。基本的なことだが、実際に本物に触れ体感することで、燃料電池や水素について、また環境問題に対しても興味が持ってもらえれば、というのが燃料電池カートの製品化の目的である。
搭載する固体高分子型燃料電池(※1)の出力はDC24Vの200~250Wスタック1本、スタック本体にはブロアーを二つ装着させている。一つは空冷用であり、スタックについている温度センサーで発電中の温度変化を読み取り、空冷風量をコントロールできるようになっている。もう一つは酸素(空気)供給用で、負荷の大きさによって風量コントロールできるようになっている。一方、水素燃料は容量500NLの水素吸蔵合金ボンベ(※2)を搭載する。

| 固体高分子型燃料電池 | 1 | 200~250W DC20~36V ツインブロアー制御 |
|---|---|---|
| DC/DCコンバータ | 1 | 入力18~36V 出力 24V 300W(max) |
| 水素吸蔵合金 | 1 | 500NL 熱交換フィン |
| 圧力レギュレータ | 1 | 0.02~0.04MPa放出 |

出力はDC24V 200W、燃料電池からDC24V 200Wを出力しモータを回転させる。アクセルにスライド式ボリューム抵抗を接続し、アクセルの踏む強さによって、モータへ流れる電流をコントロールできるように、モータコントローラを組み込んだ。このモータコントローラは回転の前転、後転の切り替えが可能になっており、カートの前進、後進ができるようになっている。
③ カート車体
カート車体はエンジン式レーシンカートのオリジナル車体を採用した。車体重量は55kg。車体骨組みが頑丈に作られており、安全に適している。オリジナルと同じくブレーキは油圧ディスクブレーキを利用。
④ 燃料電池とバッテリーのハイブリット回路
燃料電池カート総重量は約85kgである。これに人が乗ると120~150kg程度の重さになる。この重量は200W級の燃料電池ではかなりの大きい負荷になってしまった。停止からカート発進時かかる燃料電池への負荷は発電能力以上になってしまい、燃料電池の故障を招く原因となっていた。そこで燃料電池のアシストとして小型のバッテリーを組み合わせる回路を組むことになった。燃料電池電圧は発進時に24V以下に落ちてしまうので、24V以下になるとバッテリーから電流が流れるようになり、走行中は燃料電池電圧から25~28Vで電力供給ができるようなハイブリット回路を搭載した。それによって、発進による過負荷時はバッテリーから電力を補い、走行中は燃料電池によって走行ができるようになった。

